日本のデベロッパが見た WWDC:深津貴之氏

深津貴之

深津貴之氏

[深津貴之氏はご自分を「flash interactive designer」と位置づけておられるが、筆者のようなシロウトには日本最先端の iPhone デベロッパに見えるので標記タイトルにさせていただいた。]

深津貴之氏が WWDC 直後にご自分のサイトに書かれた「新しいiPhoneは何をもたらすのか?」という記事が大変示唆に富んでいる。

fladdict: “新しいiPhoneは何をもたらすのか?” by 深津貴之: 10 June 2009
[via AppBank]

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外部デバイスとの連携がポイント

プッシュ通知機能やアプリ内課金も魅力ですが、iPhoneをいちばん面白くするのは外部デバイスとの連携が解禁されたことだと思います。

iPhoneと外部デバイスの通信は、電子機器にとって新しいコンセプトをもたらすと思います。ハードウェアとソフトウェアがより分離し、Amazon APIのようなウェブサービスやマッシュアップといった概念が、デバイスレベルに降りてくるわけです。

機能と設計をシンプルにし、仕様をしっかり公開さえすれば、電子機器はユーザーの用途に応じて無限のカスタマイズと進化ができる、というのはとても面白いと思います。このような概念が普及していくと、既存の家電が抱えていた問題点──アレもコレもと機能をゴテゴテと追加する風潮に一石が投じられるのではないかと思います。

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このように外部デバイスへの連携を重視する背景には、深津氏が iPhone を電話でも家電でもない「あちら側」へのデバイスと捉えていることがある。

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iPhone の本質は「あちら側」

しかしi-podもituneもインターネットの手前の、グーグルを介さない「あちら側」へ扉で[ママ]となりうる。そしてアップルはそのゲートウェイの使用を自分以外にの誰にも許可していない。「こちら側」にバイパスを設けつつ「あちら側」を支配する、それがアップルの戦略なのではないのかなと思う。

fladdict.net blog: “アップルの本質は「あちら側」ではないのか?” by 深津貴之: 06 April 2005

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iPhone は電話でも家電でもない

で結論としては、「iPhoneは携帯でも音楽プレイヤーでもない」という考えに帰結した。

タッチスクリーンという仕組みの本質は大画面の手段でも、カッコよさでもない。むしろUIとしては不便な部類に属するデバイスである。その唯一の利点は、あらゆるタイプのインターフェースを、1つのデバイスで実現できるということだ。

fladdict: “iPhoneは携帯でも音楽プレイヤーでもないし、Appleは家電屋じゃあない” by 深津貴之: 14 January 2007

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iPhone 進化の未来は・・・

iPhone自体は時代に比べて比較的ロースペックというスタンスを保ちながら、IDと万能リモコン、万能ハブというポジションに専念するのではないかと思う。

iPhoneはあくまで入出力機器に徹し、複雑な処理はネットワークや最寄りのPCにリクエストを出して結果を受け取る。wifi圏内に適切な対応デバイスがあれば、一覧をダイナミックに取得しUIをロード、独立したデバイスとデバイスをシチュエーションにあわせて組み合わせて制御する、マッシュアップのハブみたいなものになっていくだろう、と考えている。

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グーグルの弱点にまで考察が及んでいる点、たいへん示唆に富む。[あちら側へ扉参照]

iPhone を何物と見るか。その本質を見抜けるかどうかがこれからのデベロッパに求められる視点なのかもしれない。

★→[原文を見る:Original Text

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