拡大するフードスタンプの受給者にみる経済不況の傷跡

Food Stamps

フードスタンプ用に備蓄された食料品

アメリカを覆う失業の波にはことばを失う。

NY タイムズが特集した失業の際のセーフティネットに関する特集は不況の傷跡がいかに深刻であるが痛感させる。

低所得者向けの食料費補助フードスタンプ[Food Stamps Program]を受けているアメリカ人の数が記録的数値になっているという。

New York Times: “Food Stamp Use Soars, and Stigma Fades” by Jason DeParle and Robert Gebeloff: 28 November 2009

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フードスタンプの受給者が記録的数に達している

フードスタンプの支給を受けるひとの数が記録的数値に達しており、しかも毎月増加している。かつて福祉政策の失敗と軽蔑されたプログラムが8人に1人のアメリカ人、4人の1人の子供を救っている。

With food stamp use at record highs and climbing every month, a program once scorned as a failed welfare scheme now helps feed one in eight Americans and one in four children.

フロリダキーズ[フロリダ最南端の島々]の衰退するリゾート地域からベーリング海峡に臨むアラスカの村に至るまでフードスタンプのプログラムは毎日2万人の割合で拡大している。

From the ailing resorts of the Florida Keys to Alaskan villages along the Bering Sea, the program is now expanding at a pace of about 20,000 people a day.

アメリカ人の 12% がこの制度の恩恵を被っている。黒人では 28%、ラテン系の 15%、白人の 8% にあたる。各家庭1人当たりの支給月額は約 130 ドルだが保護の程度と児童保育費により異なる。

Now nearly 12 percent of Americans receive aid — 28 percent of blacks, 15 percent of Latinos and 8 percent of whites. Benefits average about $130 a month for each person in the household, but vary with shelter and child care costs.

セントルイスのワシントン大学の Mark R. Rank 教授が最近行なった調査は、政策担当者の心胆を寒からしめるものだった。なんとアメリカ人の半分が 20 才になるころには短期間とはいえフードスタンプ支給の対象になっているというのだ。黒人の子供ではその数字は 90% にもなるという。

A recent study by Mark R. Rank, a professor at Washington University in St. Louis, startled some policy makers in finding that half of Americans receive food stamps, at least briefly, by the time they turn 20. Among black children, the figure was 90 percent.

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Food Stamps Usage

アメリカ全土でみるフードスタンプ受給者

フードスタンプの受給者を、子供、白人、黒人、増加数についてカウンティ毎に分析したアメリカ地図がある。そこから浮かび上がってくるアメリカは、我々の知っているアメリカとは別の国みたいだ。

Food Stamp Usage Across the Country | NYTimes.com

セーフティネットとしての食料費補助がアメリカ人の 12%、20 才の若者の半分に達するということは、この制度がもはや「低所得者向け」ではないことを示しているのか、それともそこまでアメリカの低所得者数が増加し、所得格差がそれほど進行したということなのか・・・

具体例として挙げられた Dawson 一家の話は身につまされる。

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Greg Dawson 一家の場合

オハイオ州 Martinsville に住む3級電気技師の Greg Dawson は、仕事仲間がほとんどクビになったのに自分には仕事があるだけでも運がいいと考えている。契約会社の夜勤の仕事で、食料品チェーンストアの冷蔵庫の電球を替える仕事だ。しかし残業手当は無くなり、生活費は増えた。妻と5人の子供を養うためには食費を倹約するしかない。

With most of his co-workers laid off, Greg Dawson, a third-generation electrician in rural Martinsville, considers himself lucky to still have a job. He works the night shift for a contracting firm, installing freezer lights in a chain of grocery stores. But when his overtime income vanished and his expenses went up, Mr. Dawson started skimping on meals to feed his wife and five children.

シリアルと卵で腹を満たそうとする。スパム[コンビーフに似た豚肉の缶詰め]もたくさん食べる。ぐうぐういう腹を抱えて仕事にいき、自分では買えない食べ物を照らす電球を替える。福祉職員が息子のヘッドスタートプログラム[貧困者の子供に対する連邦政府の保健教育プログラム]で自宅に現われたとき、ついに彼も敗北を認めたのだ。

He tried to fill up on cereal and eggs. He ate a lot of Spam. Then he went to work with a grumbling stomach to shine lights on food he could not afford. When an outreach worker appeared at his son’s Head Start program, Mr. Dawson gave in.

無口でうっすらと髭をはやした 29 才になる Dawson 氏は「当惑している」という。毎月 300 ドルの支給を受けることに良心がとがめ、そのことを親にも話していない。「これまでそんなひとたちのことを制度を食い物にしていると考えてきた。しかし今や自分たちが本当に助けを必要としているのだ。」

“It’s embarrassing,” said Mr. Dawson, 29, a taciturn man with a wispy goatee who is so uneasy about the monthly benefit of $300 that he has not told his parents. “I always thought it was people trying to milk the system. But we just felt like we really needed the help right now.”

電気技師の Dawson 氏は仕事のためにさらに遠くまで出かけなければならなくなった。おかげでガソリン代は倍になり、食費も大幅に増えた。健康保険料も急騰した。増えた生活費は約 400 ドルで、残業がなくなった分 200 ドルの減収だ。その赤字の一部を埋めてくれるのがフードスタンプだ。

While Mr. Dawson, the electrician, has kept his job, the drive to distant work sites has doubled his gas bill, food prices rose sharply last year and his health insurance premiums have soared. His monthly expenses have risen by about $400, and the elimination of overtime has cost him $200 a month. Food stamps help fill the gap.

多くの公的支給金の場合と同じく制度を悪用するひとがいることを Dawson 氏は認めるが、自分はそうではないという。「公的手当を受けるため結婚しないことを選択する」ひともいるが、自分は結婚しており、教会にも行き、職業も家も持っている。たしかに「ステーキ肉を買い物篭一杯買うひともいる。」しかし自分は政府からもらったカネをコーヒーやソーダのような贅沢品には使わない。「それは道徳的に間違っていると思うからだ。」

Like many new beneficiaries here, Mr. Dawson argues that people often abuse the program and is quick to say he is different. While some people “choose not to get married, just so they can apply for benefits,” he is a married, churchgoing man who works and owns his home. While “some people put piles of steaks in their carts,” he will not use the government’s money for luxuries like coffee or soda. “To me, that’s just morally wrong,” he said.

フードスタンプのおかげで Dawson 一家は新鮮な果物、野菜、パン、肉を買うことができる。予期しないものも得ることができた。それは大きな安堵感だ。「ミルクが切れたら近くのガソリンスタンドにいけばいいから」と Dawson 夫人の Sheila はいう。

Still, the program has filled the Dawsons’ home with fresh fruit, vegetables, bread and meat, and something they had not fully expected — an enormous sense of relief. “I know if I run out of milk, I could run down to the gas station,” said Mr. Dawson’s wife, Sheila.

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なんともやりきれなくなる話だ。世界一豊かだと思われていたアメリカでこの現実!

Dawson 一家以外にもたくさんの例が挙げられている。

Once Scorned, a Federal Program Grows to Feed the Struggling [Slide Show] | The New York Times

一方、海を渡ってこちら側に来ると、そんなセーフティネットすらない・・・

今回の不況の傷跡は底知れない。

原文を見る:Original Text

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2件のコメント on “拡大するフードスタンプの受給者にみる経済不況の傷跡”

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