ジェロームの「ピグマリオンとガラテア」

Jean-Léon Gérôme

Pygmalion and Galatea by Jean-Léon Gérôme

ピグマリオンは伝説のキプロス王。みずから刻んだ石像と恋に落ち、神に祈って命を与えられた像を、妻ガラテアとしたことで知られている。

画面は彼の祈りが通じて石像が命を得た瞬間。彼女の膝から下はまだ石のままである。神の奇跡に感動してか、美しき伴侶の誕生に歓喜してか、仰ぎ見るガラテアをかき抱くピグマリオンの、畏敬に満ちた愛情表現は圧巻。接吻絵画は数あれど、かくも純真無垢に愛をむさぼる男性表現は例がない。写真のようにリアルな画風から印象派の天敵とされた、フランス近代アカデミズムの重鎮ジェローム入魂の代表作である。

この伝説を言語学者ヒギンズ博士と花売り娘のイライザに置き換えたのが英国近代演劇の巨匠バーナード・ショー作の「ピグマリオン」で、大ヒット映画「マイ・フェア・レディ」はこの戯曲を原案にしている。

理想の伴侶を夫が「創造」するという点では、男権主義の色濃い伝説とはいえ、ジェローム描くピグマリオンの接吻は、崇拝にも似た恋慕の情で見る者の胸を熱くせずにはおかない。純愛が燃えさかる炎と化す、接吻絵画、名場面中の名場面である。

(1890 年、カンバス、油彩、88×67 センチ、ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵)

日本経済新聞: “接吻十選 10” by 西岡文彦 (多摩美術大学教授): 05 May 2009

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