剣客と放鳥

Anno Mitsumasa

安野光雅氏

安野光雅氏が日経新聞(夕刊)に書いているコラムがとても楽しい。

日本経済新聞[あすへの話題]: “剣客と放鳥” by 安野光雅: 09 January 2009

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死んじゃあいやだ

 三歳になる孫が、カレンダーを丸めた紙筒で斬りつけてきた。「いま斬ったんだから、死ななくちゃあいけない」という。「あ、やられた!」と悶絶すると、刀をほうりだし、「死んじゃあいやだ、だいじなおじいちゃんなんだから死んじゃあいやだ」と、耳元にかぶりついてきて絶叫する。ぬれている唇が耳にくっつく、それは驚くべき演技で、どこでそんなせりふを覚えてきたのかと思う。そんなことを言われると、たとえ嘘であってもうれしくて、おじいちゃんはたちまちメロメロになる。

 「だいじょうぶだよ、心配ないよ」と起きあがると、孫はまたしても紙の刀で「やー」と斬りつけてくる。また死んだまねをすると、また飛びついてきて「死んじゃあいやだ」と絶叫する。おじいちゃんは「全財産をこの子にやりたい」などと思う。孫の方は飽きないが、おじいちゃんはやがて飽きて、殺した本人から「死んじゃあいやだ」といわれても、プラスマイナスゼロだとわかるのだが、それでも、うれしいのだからしまつが悪い。

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「放鳥屋」

 話は変わるが、インドの街角で、お金を払えば籠の鳥を放させてくれる「放鳥屋」に出会った人から話をきいたことがある。鳥を自由にして善根を施した気になれるというのだが、やはりおかしい。鳥でなく、放し亀だとか、放し魚などもあるらしい。

 バグダットの放鳥屋は、鳩を使うという話で、夕方には放たれた鳩が主より先に元の鳩小屋へ戻っているという。

 骨董を買えば、一種の連係プレーがあって、これは国外持ち出し禁止で、税関でとりあげられ、また元の骨董屋で次の客を待つ仕組みもあるらしい。孫も放鳥もみんな、アラビアンナイトの世界である。

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Fushigina E

ふしぎなえ

安野氏の独特な画風は大好きで、なかでも「ふしぎなえ」はお気に入りだ。

しかし絵だけでなく、文章もすばらしい。

これで「だいじなおじいちゃん」のファンがさらに増えること間違いなしだ。

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